昨日迄は台所で料理に使われていた筈の包丁が、愛する家族を刺し貫く凶器となる──
ここ最近、こんな記事をあちこちで見かけ、新聞等で事件を見かけても何とも思わないといった感じですでに感覚が麻痺してきている自分がいる。
でも、物の凶器ならまだいいと思う。
一番簡単で一番やっかいな凶器、それは“言葉”だ。
年齢に関係なく誰でも持ち合わせ、誰でも関係なく相手を刺し貫く。
時として人を喜ばせたり出来る反面、時として地獄の底へと叩き付ける。
それは、悪意のあるないにかかわらず、相手にとって“不”のスイッチが入るキーワードがあれば十分に凶器と化すのだ。
自分にはそのつもりがなかっとしても、知らず内に不の入り口を開くキーワードが入っている。そうする事によって、相手に不快感、悲壮感、焦燥感を与え、本人預かり知らぬ場所で他人を平気で傷付けている。
修復は可能だったかもしれない。
でも、あえて修復はせずに終結させる事にした。
自分の配慮のなさ、そう、軽はずみな言動が全てを台無しにし、何人もの人達に深い傷を負わせてしまった。
「ごめんなさい」で片付けるには、余りにも事は大きくなりすぎた。
だから、わざと口を閉ざし何も言わない事でそれを答えとした。
これ以上は何も出来ない。
これ以上どうしていいのか判らない。
一番理想的なのは、このまま全てを無にする事なのだろうと感じているから。
人によっては“逃げ”に見えるだろう、お粗末な行為。
正直言えば、逃げるのだ。
卑怯で愚かしく、最低な行為であろうが逃げの一手を取る。
これで何人もの人が自分を見限ろうと、どんな烙印を押されようと、それ相応のリスクを覚悟で逃げるのだから、それは構わない。
どうか、俺を一生悪者のままにしておいて下さい。
俺は、深く傷付けた事を、期待に応えられなかった事を面と向かって謝罪出来る程の人間じゃないんです。
単なる自己中心的な生き物なんです。
俺とかかわった時間を後悔しているでしょうが、その恨みも全て背負い込む覚悟で尻尾を巻いて逃げるので、このまま臭い物に蓋をして終わらせて下さい。
